2社間ファクタリングとは何か?

企業が事業を継続・拡大するうえで、資金繰りは常に大きな課題となります。売掛金の入金を待たずに資金を確保できる「ファクタリング」は、その解決策の一つとして注目を集めています。特に「2社間ファクタリング」は、中小企業や個人事業主に広く利用されている方式です。本記事では、その仕組みや特徴、メリット・デメリットを解説します。


ファクタリングとは?

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(取引先に対する未回収の請求権)を、ファクタリング会社に譲渡し、早期に現金化する資金調達方法です。売掛金の入金までに数十日から数か月かかることは珍しくありません。その間も従業員の給与や仕入れの支払いは発生するため、資金繰りが苦しくなる企業も多いのが現実です。

ファクタリングを利用すれば、売掛金を前倒しで現金化できるため、資金繰りの改善や突発的な支払いへの対応が可能となります。銀行融資とは異なり、借入ではなく「売掛金の売却」であるため、財務上の借入金増加にはなりません。


2社間ファクタリングの仕組み

ファクタリングには「2社間」と「3社間」の大きく2つの方式があります。

  • 3社間ファクタリング:売掛先(取引先)・ファクタリング会社・自社の3者で契約を結び、売掛先がファクタリング会社に直接支払う方式。取引先への通知と承諾が必要。
  • 2社間ファクタリング:売掛先には通知せず、自社とファクタリング会社の2者のみで契約を結ぶ方式。売掛金が取引先から自社に入金された後、自社がファクタリング会社に支払う流れ。

つまり、2社間ファクタリングは「取引先に知られずに資金化できる」点が大きな特徴です。


2社間ファクタリングの流れ

  1. 売掛債権の提示 自社はファクタリング会社に売掛金の内容を提示します。
  2. 審査 ファクタリング会社が売掛先の信用力や請求内容を審査します。
  3. 契約・資金化 契約成立後、ファクタリング会社は売掛金額の70〜90%程度を即日〜数日以内に前払いします。
  4. 売掛先からの入金 期日に売掛先から自社の口座に代金が振り込まれます。
  5. ファクタリング会社への支払い 自社は入金された資金から、残りの売掛金と手数料を差し引いた金額をファクタリング会社へ支払います。

メリット

  1. 取引先に知られない 取引先に資金繰りの状況を知られることなく資金化できるため、取引関係に影響を与えにくい。
  2. スピードが早い 契約から資金化までが数日、場合によっては即日も可能。急な支払いに対応できる。
  3. 借入ではない 売掛債権の売却であるため、銀行融資のように負債が増える形にはならず、信用情報にも影響しにくい。

デメリット

  1. 手数料が高い 2社間ファクタリングはリスクが高いため、手数料が10〜20%と比較的高額になることが多い。
  2. 自社が回収リスクを負う 売掛先から入金がなかった場合でも、ファクタリング会社への支払い義務は残る。
  3. 利用審査がある 売掛先の信用度が低いと利用できない場合がある。

2社間ファクタリングが向いている企業

  • 急な資金繰りに対応したい企業
  • 取引先に知られずに資金調達したい企業
  • 銀行融資が難しい、または審査に時間がかかる企業

特に中小企業やスタートアップ、個人事業主にとって、柔軟かつ即時性のある資金調達手段として重宝されています。


まとめ

2社間ファクタリングは、取引先に知られることなく売掛金を資金化できる利便性の高い方法です。ただし、手数料が高めである点や、売掛先の信用力に依存する点には注意が必要です。資金調達の選択肢として、融資やリース、補助金・助成金と比較検討しながら、自社の状況に最も合った方法を選ぶことが重要です。

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